西アジアやアフリカなどへの旅の日々をもとに、『旅立つには最高の日』(三省堂)『風をとおすレッスン 人と人のあいだ』(創元社)『美しいをさがす旅に出よう 増補新版』(白水社)など数多くの著作で名エッセイを書いてきた田中真知さん。その書き物は、遠い土地を旅し、人との出会いを旅し、世界のべつの捉え方を旅するものでありながら、それらを経験し、何事かを感じ、考え、変化してゆく〈私〉そのものを旅する作品とも言えます。
そして真知さんには、作家や大学講師としての顔のほかに、実は「あひる商会CEO」というもう一つの顔もあります。あひる商会とは何か。その全貌はなぞに包まれていますが、どうやら、ラバーダック(おふろに浮かべる黄色いあれです)をはじめ地球上にあまねく広がるあひる的表象の視点から世界を捉え、人のつながりを広げてゆくといった趣旨で、各国に支部と各種部長を擁しつつ密かに活動を展開しているようです(現会員は約600人)。
一方、京都駅のほど近くに店を構える鴨葱書店さんは「観光」もお店の一つのテーマとしているとのこと。名所旧跡などを訪れる旅だけでなく、「本を読むこと」も日常の中の観光と言えるかもしれない。さらに、旅の途中で本屋をのぞいてみるのは、いわば観光の中の観光のひと時として、何か新たなものに出会う経験となるかもしれない……といった考えもあると聞きました。
そんな鴨葱書店さんでの田中真知さんのトーク。旅先でふらりと本屋に入ってみるように、日常の中でふと〈私〉をのぞいて旅してみる——そのような〈私〉への小さな旅を体感できる愉しいひと時となるに違いありません。冬の京都のお店で、またオンラインにて、お待ちしております。
(『旅立つには最高の日』『風をとおすレッスン』編集 藤本なほ子)
☆あひる商会 https://www.facebook.com/groups/ahirushokai
【登壇者プロフィール】
田中真知(たなか・まち)
1960年生まれ。作家、立教大学観光研究所研究員、あひる商会CEO。エジプトに暮らし、西アジアやアフリカを広く旅して回った経験をもとに、旅やコミュニケーションなどをテーマとした著作を発表。著書に『ある夜、ピラミッドで』(旅行人)、『孤独な鳥はやさしくうたう』(旅行人)、『旅立つには最高の日』(三省堂)、『風をとおすレッスン 人と人のあいだ』(シリーズ「あいだで考える」、創元社)など多数。コンゴ河を丸木舟などで下る旅を綴った著書『たまたまザイール、またコンゴ』(偕成社)で第一回斎藤茂太賞特別賞を受賞。
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