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2024年07月19日(金)

ぼくらはこうして言葉と向き合ってきた ──コピーライターという生き方

登壇者:三島邦彦、中田洋之

コピーライター。憧れの職業の一つです。

 

あたり前のことではありますが、本屋では日々本が入荷し、そして購入されていきます。本屋とは言葉にお金が支払われる現場です。その現場に立ち会っている身として、言葉を仕事にしている人に対する尊敬の念は増すばかりです。お金を支払ってもよいと思わせる言葉を生み出す人がいなくなれば、本屋は廃業せざるをえないので当然といえば当然です。

 

言葉を仕事にする人といえば、まず小説家などの作家が思いつきますが、作家だけではありません。コピーライターもまさに言葉を使った職業の一つです。コピーライターとはどういう職業でしょうか。コピーライターの三島邦彦さんの『言葉からの自由』(宣伝会議)にはこう書いてあります。

 

言葉に関することはなんでもやる。言葉にできることはなんでもやる。それがコピーライターの仕事であり、コピーライターの理想。そして、コピーライターが書くのは、人が価値を感じる言葉。困っている人を助けたり、ちょっとした勇気をくれたり、人を動かしたりお金を動かしたりする言葉。

 

格好いい。身の回りに粗雑な言葉が溢れて言葉そのものの価値が目減りしていっているように思えるなかで、そうじゃない、言葉には価値があるんだということを思い出させてくれます。この世界には言葉で何とかできる余地があるという事実はなんとも魅力的で、言葉を扱う職業の端くれとして自分も多少なりとも世の中のために言葉を使えるような人になりたいと思うわけです。

 

言葉は作家やコピーライターなどの専売特許ではありません。誰もが言葉を用いて生活を送っています。どれだけスタンプなどの代替表現のツールが発達したとしても、最終的には言葉を使わざるをえない場面に遭遇します。そうしたときにどれだけ自分なりの言葉を身につけていられるかが、その人の魅力あるいは信用につながると思います。もちろんそうした言葉は一朝一夕に身につくものではなく、ある程度の修行期間が必要です(コピーライターとして一人前になろうと思ったら短くても10年以上はかかると三島さんは書いています)。ではどのようにして言葉と向き合えばよいのでしょうか。

 

今回のトークイベントでは、コピーライターのお二人に、言葉との向き合い方や言葉を使うことの面白さ(あるいは怖さ)など、コピーライターの視点からその商売道具の言葉についてお話しいただきます。自分のために言葉を使うということが一般的なあり方のなかで、「誰かのために自分の言葉を使う」コピーライターという職業から眺めた言葉の世界には、普段の言葉をさらに豊かなものにする糸口がたくさんあると思います。言葉を仕事にしている人・したい人、そうではないけれど言葉に不安を感じている人、ぜひご参加ください。

 

【登壇者プロフィール】

三島邦彦(みしま・くにひこ)

コピーライター。1985年長崎県長崎市生まれ。東京大学卒業。2008年電通に入社。主な仕事にNetflix「⼈間まるだし。」「再⽣のはじまり」「上を⾒ろ、星がある。 下を⾒ろ、俺がいる。」Netflix実写版ワンピース「いいものつくろう。尾田栄一郎×Netflix」、本⽥技研⼯業「難問を愛そう。」、Honda F1ラストラン「じゃ、最後、⾏ってきます。」、三井住友カード・Vポイント「上⼿な⽣き⽅、とかじゃなく、みんなが幸せになれるといいのに。」など。ACC総務⼤⾂賞/グランプリ、⼩⽥桐昭賞、TCC賞、TCC審査委員⻑賞、朝⽇広告賞グランプリ。著書に『言葉からの自由 コピーライターの思考と視点』(宣伝会議)

 

中田洋之(なかた・ひろゆき)

1979年福井県小浜市生まれ。クリエイティブカンパニーQANDO(カンド)のクリエイティブディレクター兼コピーライターとして、コンセプトメイキングからネーミング・ステートメント開発、PR企画の立案、撮影ディレクションに至るまで、その業務範囲は多岐にわたる。主な仕事に田島硝子「この国の、息吹であり続ける。」、菅公学生服「未来に、エールを。」、神戸市環境局「神戸、イマどき、マイボトル。」、甲南女子大学「ナンジョノキョリカン」、日本大学工学部建築学科「建築はつづく。未来がはじまる。」など。「鴨葱書店」のネーミング開発も担当。もっとも尊敬する作家は夏目漱石。大好物は、うなぎ。

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